火星年代記
だいぶ前に読んだ本なので記憶が曖昧だが、感想を書きます。
僕が読んだのは文庫版の旧バージョンです。
人類が火星に移住する物語を26の短編で綴った作品。
地球人が火星に探検隊を送るが、テレパシーや催眠術を持つ火星人の抵抗にあい、第3探検隊までが死亡してしまう。
そして送られた第4探検隊…
そうしてるうちに地球では戦争が勃発する。
残してきた家族を心配し、大勢が地球に帰還した。
その後、火星では…
最後の短編「二〇二六年十月 百万年ピクニック」が印象的だ。
「ぼく、とても火星人が見たかったんだ」
(中略…)
火星人がそこにいた。ティモシイは震えはじめた。
(中略…)
火星人たちは、ひたひたと漣波の立つ水のおもてから、いつまでもいつまでも、黙ったまま、じっとみんなを見上げていた。
(p.388-389)
もういなくなったと思っていたが、火星人は確かに存在したのだった。
どこか哀愁を感じさせる、考えさせられるラストで、記憶に残った。
短編を連作にすることでいろんなエピソードをつめこんで、1冊の本として読んだ時に火星の年代記が情景として浮かび上がってくるんですね。
僕たちが住んでいる現実の地球も戦争とかで急に滅んでしまうとも限らない。
この本はSFだけど、その点はリアリティがあるなと思った。
地球を大事にして生活しないといけないね。