六番目の小夜子
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。
学園生活、友情、恋愛。
やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説の作品とのこと。
面白かったな。
あの人が裏で糸を引いていたとは。
僕は九番目の小夜子を想起する。
その小夜子は9年後に現れる。
現在は9歳だ。
弓道部に所属し、物理学を究道する。
単振動の問題をすぐに解いてしまうのだ。
クリスマスツリーの場面が印象的だ。
幻想かと見間違う場面だった。
思春期の幻だったのだろうか。
僕は学生時代、暗くなった校舎を歩いたことがある。
人っ子一人いない学校には闇が広がっていた。
そんな学校でも夜間の居残りが可能な時期もある。
運動部の合宿などだろう。
ついつい夜更かししてしまうな。
文化部もある。
化学部は化学の実験をする。
キムワイプというティッシュが有名だ。
煮沸を予防する小石もある。
還元反応というものは化学反応である。
還元を寝転びたい。