3編の連作エッセイ。
巻末の解説によるとエッセイというより論文?
本書のテーマは国家と現代の平和、正統と異端についてから始まる。
そして、定まった土地で農耕をする定着民と定着を拒んだ遊牧民に関して、人間の歴史が語られる。
最後の表題作は都市的な性格を持つというある人種と農民的な姿をとって現れる国家、両者の葛藤についてかな。
分かったような分からないような。
解説によると、3つの論文を統一するテーマは正統と異端の対立とのこと。
農耕民族的特徴をもつ国家(正統派)と、内なる辺境である移動社会または都市(異端派)。
著者はあくまで辺境側、異端的な立場みたいだ。
安部さんはこのような視点を持っていたのか。
また新たな観点から著者の作品を鑑賞することができそうな気がした。