雪国
なんとなくこの著者の作品を読んでみた。
新日本風土記というテレビ番組の「雪の夜」を見たことがあるが、そこで登場した新潟の風景が思い起こされた。
番組では、江戸時代の名著であるという鈴木牧之さんの北越雪譜などが紹介されていたのだが、本作の舞台はそのような世界なのだ。
ページをめくってみると、けっこうアダルトな小説という印象。
注解によると直接的な表現はないにもかかわらずだが、この行間の表現力がすごいところなのか。
あとラストがこんな感じだったとは。
解説を読むと、本書は一般的には心理小説というものらしい。
三田誠広さんは耽美小説(幻想小説の1ジャンル?)と括っていて、僕にはそっちのほうがしっくりくる気がするけども。
幻想的な女性像を描いているということかな。
これまた注解によると、主人公の島村は作者自身ではなく男としての存在ですらないという。
ヒロインをうつす鏡のようなものとのこと。
もともと幻想のヒロインありきで作られた小説なのだな。
どうりで島村の台詞はだんだんとハーレムアニメの主人公の台詞のように空虚になってくると思ったのだよ。
しかし、鏡があってこそヒロインの美しさが際立つという気もする。
再び巻末の解説に書いてあったように、このような傍観者的な目を持つ人物を登場させる作風が作者のスタイルなのかしら。
初心者の僕には分からないのであった。
これが日本文学の代表作なのかぁ。