幸福村
「幸福村」、「天櫓(てんろ)」、「麦藁帽子」という中編3作が収録されている作品。
「幸福村」では、僕は主人公の景子が夫の信之のことをそんなに嫌悪しなくてもいいのになぁと思いながら読んでいった。
しかし、みつ子と信之がそんな関係だったとは!
流石にそれはちょっと引くかw
それならば、景子の行動もむべなるかな…
「天櫓」は死化粧師に弟子入りをした女性の物語だ。
死化粧師という職業が世の中にはあるんだな。
死化粧をする描写のところは、僕はけっこう引き込まれて読んだ。
それにしても天櫓とはどういう意味なんだろう?
「麦藁帽子」は老夫婦の物語。
急逝した息子には実は子どもがいて…という話。
ラストの夏の情景が僕は好きだ。
工場の白い滝のようなそうめんと、湧きたつ蝉の声…
なかなかいいね。
全体的にこの作者は女性の感情を描写するのが上手だなぁという印象だった。
女性の小説家ならではかもしれないな。
あと作家の人は小説を書くためにいろいろ取材をしたり、旅行したりもしているみたいだ。
しかし本書では、登場する男性が浮気していたり愛人を作っていたりする率が少し高いのではという印象を僕は持った。