外套・鼻
2つの短編「外套」と「鼻」が収録されている文庫本。
「外套」は万年九等官の下級官吏で、写字を己の職務としているアカーキイ・アカーキエヴィッチについての物語だ。
彼が自分の外套を新調しようとしたところ、空虚だった彼の人生に突然大嵐のような変化が訪れる。
その喜びと不幸に翻弄された彼の運命の結末は…
僕のような平凡な読者の人生にも、突然ある出来事が起こって平穏だった生活に暴風雨が吹き荒れることがあるのかもしれない。
そういう時でもちゃんと地に足をつけて生活していかないといけないな。
「鼻」はコワリョフ八等官の物語。
ある日、彼の鼻が顔から離れてひとり歩きを始めたというのである。
しかも鼻は五等官の姿で各所に現れたりと、不思議で不可解な展開になる。
不合理なテーマを写実主義的に描いた作品とのこと。
「鼻」といえば、芥川龍之介の作品しか僕は知らなかったが、世界にはいろんなことを考える作家がいるものだ。