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津波の霊たちーー3・11 死と生の物語

津波の霊たちーー3・11 死と生の物語

リチャード・ロイド・パリー (著) / 濱野 大道 (翻訳)
早川書房 (出版社)
2018年1月24日 (発売日)
単行本 (形式)

ザ・タイムズ紙の英国人ジャーナリストの東日本大震災についてのルポタージュ。
僕は未読なのだが、前作「黒い迷宮」も有名らしい
訳者あとがきによると、著者が大きく取り上げるテーマは主に2つ、宮城県石巻市立大川小学校の悲劇と被災地の心霊現象についてだ
いろいろな立場の人がいるのでどうするのがよかったのかは僕には分からないけども児童の遺族の中の人たちが最終日に民事訴訟を起こしたこと大川小学校の校舎が保存される決定が下されたことは大切な事柄と思った
裁判には作戦が必要なのだな
幽霊、憑依と向き合った金田住職の体調が回復したのは喜ばしい知らせだ
講演での無関心の壁というものもあるのか。

津波が一気に押し寄せるまえ、水がいったん引いて海や港の底があらわになったという。
時速60km以上で迫りくる津波。
体が濡れたら低体温症にも気をつけないといけないのだな。
地獄だったという現場…
読んでいると言葉を失ってしまう。

被災地では無私無欲と自己犠牲に基づく卓越した行動が数えきれないほどあったが、諍いや憎しみ、不公平さと嫉妬に満ちた苦々しさもいたるところであったらしい。
大災害と大きな悲しみに直面した人々にとっては仕方のないことだろう…
震災直後の数週のあいだに東北を訪れたすべての外国人は、日本の被災者たちの回復力と礼儀正しさに心打たれたという。
日本が誇る(? )広大無辺な慈悲の心、共同体の強さ。
その一方で隠された世界、東北の保守主義的な村社会にのけ者にされたり、ひどい扱いを受けた人もいるのだ。
本の帯にも書かれていたが、被災地に通い続けた著者は東北や日本人の心理を見事に描いていると思った。
外国人記者の視点から日本社会を見て、死についても多角的多面的にとらえている。
僕には知らないことが多かった。

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