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大学受験のための小説講義

大学受験のための小説講義

石原 千秋 (著)
筑摩書房 (出版社) / ちくま新書
2002年10月 (発売日)
新書 (形式)

大学受験での小説問題を題材にして、小説の読み方の基本を学ぶという本。
センター試験の過去問が4題、国公立大学二次試験の過去問が10題の計14題を取りあげて、著者が小説についての自分の考えを述べていく。
いろいろな日本の近代? 文学が題材になっているので、僕の知らない小説家が多く登場して読んでるだけでもおもしろかった。
ただけっこうボリュームがあるので、この本を1冊全部解くのは大変だろう。
著者の意見には同意しかねる部分もあったが、ためになることも多かった。
小説は行間を読まなければならないという。
受験小説を読むための5つの法則というものも載っていた。

だがやっぱり、解答と呼ばれるものが僕にはしっくりこないところがあったりした。
僕の考えではそれは違うんだけどなと思ったりして…
受験小説で確かな正解などないのではなかろうか。
悪問というのもあったりするからな。
受験小説が出来る人とは、小説から物語文への変換を、出題者と共有できる人だという。
出題者が自分と似た考えを持った人だったらそれも容易かもしれないけどな~
どんな問題が出題されるか分からないので、受験は運もかかわってくるのだろうと感じた。

一方で、なるほどこういうことかと思わされる解答もあったりして、感心させられる部分もあった。
著者は次のように言う。

小説を読むことは細部との格闘だと言える。細部との格闘を繰り返しながらいつか自分の読みを作ること、その辛気くさい作業の繰り返しの出来る人が「小説が読める人」になるのである。
(第五章 p.250)

細部を積み重ねて、一番妥当であると思われる解答にたどり着いた人が受験小説ができる人ということかな。
小説のいろいろな可能性を読み解けるように、自分の感情の引き出しを増やすことも大事だなと感じた。

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