透明性
2068年、Googleを頂点とするデジタル企業が個人情報を収集し管理している。
許諾する見返りに報酬が得られ、ベーシックインカムが成立している。
しかし、主人公は不老不死を可能とするエンドレス・プログラムの準備を進めていた。
彼女は宇宙へも飛び立つ。
Google帝国と企業、人類の将来とはという物語。
本作のタイトルは情報が透明であるということを意味している。
本書ではGoogleのスローガンと思われるものが掲げられている。
「邪悪になるな」というのが有名だな。
昔読んだ本にも書いてあった。
僕も考えてみた。
「正符号だ、ビッグキャットはそう思う」
秋田県佐竹知事飼い猫のロシア猫のミール君も身につまされる思いだ。
「彼女が出ていくのは、自然が、暖かい光のもとに、その不治の病について何も言おうとしない者の微笑みをたたえて姿を現す時だ。」
(p.225)
この文章が心に響いた。
環境破壊なのだ。
自然を大切にしなければいけない。
都市化が進み昔は林だった場所にも住宅地になっている。
森は分断され、生物の住処が減っていく一方だ。
狐の姿をとんと見かけたことがない。
僕の家の近所にもまだ存在しているのだろうか。
狐火、狐の嫁入り、妖狐など日本人の精神生活の支えとなってきた狐。
北海道にはまだ沢山生息しているのだろうけども。
キタキツネは形而上学的には不遇なのではないだろうか。
僕はそう思う。
面白い作品だった。
不安定な建造物。