怪談の科学〈PART2〉たたりじゃあ 〜
精神科医である著者の前作「怪談の科学」の続編だという。
前著では、怪談の多くは幻覚・幻聴で科学的に説明できると述べられており、おもしろく読んだ。
だが、怪談には「たたり」というものもあるなぁと僕は思っていた。
それも幻覚なのだろうか?
そんな時に本書の存在を知り、疑問が解消されるかもしれないと思い、読んでみた。
本書では、現代人の不安と平安人の不安は似ているのではという観点から、今昔物語の怪奇譚を楽しみながら、いろいろな精神医学に関して触れられている。
序章では、著者の経験から「病は気から」という実例が挙げられていた。
お医者さんでも、自分が不治の病かと思えばやっぱり不安になるものなんだなぁ。
たたりというのは思い込みのノイローゼらしい。
それにしても、不治の病にワラをもつかむ思いの病人相手のインチキ医療は困ったものだ。
あと勉強になったのは、職業上の仮面をつけて社会的役割を演じているうちに、その仮面を外そうとしても取れなくなってしまうことがあるという話だ。
ビビアン・リーという女優の例が述べられていた。
役者の性格と強い親和性を示す役柄を演じていたりすると、役者の地と演じる役との分離が怪しくなってくることがあるという。
なるほど…
まとめに書かれていたように、僕も自前の自我を自分の手で確立できるようがんばろう。