物語論 基礎と応用
物語の背後にある設計図を論じる理論、文学の研究をする科学である物語論(ナラトロジー)について書かれた本。
いろいろな作品を取りあげて具体的なテクスト分析を行いながら、話がすすんでゆく。
第1部は基礎編(理論編)となっており、主にフランスのジェラール・ジュネットの理論などが説明されていた。
第2部は応用編(分析編)となっている。
僕は後半はチラチラと読んだが、ガルシア=マルケスという作家の「百年の孤独」という作品はかなり有名なのだな。
あと、第11章の最後に興味深いことが書いてあった。
現実は物語的に把握され、物語は把握された現実のように表象される。
(中略)
現実は私たちの感情に作用するが、物語も読み手の感情に作用する。それも、抽象化され、普遍化されている分、時には現実以上の作用をおよぼすのである。
(第11章、電子書籍のためページ数不明)
物語の紡ぎ手には大きな責任が伴うことを忘れてはいけないと思った。
最近、このことは十分に理解されているだろうか。
テキスト分析については多様な意見がある? ようだが、物語論を知っておくのはまぁ悪いことではないか。
情報が多いに越したことはないし。
しかし、何でもかんでも理論を振りかざせばいいというわけではないだろうからな。
小説の全体は常にその部分の総和より大きいと言う。
理論では測れないものがきっとあるのだ。