ロジェ・グルニエ (Rédigé par) / 山田 稔 (Translation)
みすず書房 (Maison d’édition) / Lettres
1999janv. (Date de sortie)
Couverture rigide (Format)
フランスの文学。
サクッと読める長さで読みやすく、切ない感じがした。
アイロニカルな主人公の語りでストーリーが進む。
フランスのポーという小さな町に育った男女数人の人生模様についてだ。
子ども時代から、第2次世界大戦が起こった1940年頃の成人期?が描かれ、最後には主人公は年老いていく。
あとがきの解説にも書かれているように、11月のサン=マルタンの縁日に現れる黒いピエロと、回るメリーゴーラウンドが時の流れを感じさせて印象的だった。
かつて、パリのメニルモンタンの坂を越えるためだけに路面電車を引くことを繰り返す馬と人間がいたという。
「それ以来、坂道を上って次の電車を待つためにまた下りて行く、そればかりを繰り返している馬と人間のことが頭にこびりついて離れないのです」
(p.112)
35歳の主人公は自分の人生が彼らとどこか似たところがあると考える。
ちょっともの悲しい。
そんなに自己評価が高いほうではない僕でも、自分の人生は同じ坂を上り続けるだけのものではなく、自分で変えていけるものだと思うけどな。
まあ、そのためには僕自身がもっと創造的、生産的なことをしていかないといけないが。
Enfin、年老いた主人公は自分の人生を振り返る。
そして自身を「時代の敗北者」だったと語る。
時代を正しいものと感じられずに孤立を感じた主人公。
Mais、そのおかげで難を半ば免れたと小さな安らぎを得るのだった。
明るい話ではないが、そんなに悲しいわけでもなく、情緒を感じる読後感だった。
一歩引いたような主人公の語りのせいかな。
この小説を読んで、自分の人生の終わりに僕だったらどんなことを感じるだろうかと思った。
後悔して終わるのはちょっと残念なので、多少なり満足して終われるように日々がんばっていこうかな!
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