木原 善彦 (Written by)
Heibonsha (Publishing House) / 平凡社新書
2006年2月11日 (Release date)
New book (Format)
UFOと宇宙人についての神話をポストモダンのアメリカ社会=現代社会という視点から読み解いた本。
僕はこの本けっこう好きなのです。
大澤真幸氏の著作やいろいろな思想家の考えなどが出てくる。
ボードリヤールという人のシミュラークル、ハイパーリアルの考えとか。
大文字の他者、小文字の他者、他者の他者の話とか。
本書を読んで、UFO、エイリアン神話はポストモダンな社会状況から読み解けるのかなと思った。
僕はX-ファイルファンでエイリアン神話に関心はあり、テレビの宇宙人番組も見たりしていた。
今となってはこの神話を信じていないが、マジェスティック12とかダルシーの大虐殺とかよく考えるよなぁ。
偽造文書や偽造フィルムの複雑な相互参照により、ハイパーリアルなシミュレーション空間ができあがったということみたいだ。
1995年以降のポストUFO神話とされるものには僕はおもしろさを感じない。
このいわゆる不可能性の時代、動物の時代、現実の時代には、筆者によると、複数の現実が存在しその中の一つに神話の核があるのではという。
そして神話の核にあるものは現実であるらしい。
いろんなむずかしい思想があるものだ。
これからの時代はどのような新しい神話が生まれてくるのかね~
Related Posts
- [Color version] Opium Kingdom infiltration Hideyuki Takano (Written by) Shueisha (Japan) (Publishing House) / 集英社文庫 2007年3月25日 (Release date) Kindle version (Format) 1995年に、ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州で7ヶ月暮らしたという著者のルポルタージュ。 そこはゴールデン・トライアングルと呼ばれるアヘンの麻薬地帯だという。 著者は小さな村に暮らし、ケシ栽培に従事する。 この著者の本にはどこかコミカルな印象を持っていた僕だが、本書は真面目な内容だった。 (まぁ、後半部分で著者がアヘン中毒になりかけていたりしたが…) 「招き猫」敬礼をする村人たちとの別れの場面にはウルっとくるものがあった。 文庫版あとがきで、著者はこの本が自分の「背骨」と呼ぶべき仕事であると言う。 Also、あとがきでは調査・取材、執筆は7年に及んだと書かれていた。 すごいものだ。 著者がお世話になった方で鬼籍に入られた方たちもいるという。 高野氏自身もマラリアに罹ったり、命の危険を感じる場面に何度も遭遇する。 あらためて、本書の重みを感じられる。 本書を読んで、アジアに住んではいるが、僕はアジアのことを全然知らないなと思った。 各国には様々な歴史的背景があり、現在も複雑な事情を抱えているのだなぁ。
- The Life of Kappa and Ora-Akuma 芥川 龍之介 (Written by) Shinchosha (Publishing House) / 新潮文庫 1968年12月15日 (Release date) Bunko (Format) 本巻には表題の短編「河童」が収められている。 「河童」は次のように始まる。 これは或精神病院の患者、第二十三号が誰にでもしゃべる話である。 (p.66) ある男が河童の国へ行ってきたというのだ。 But、その男は今は正気を疑われて精神病院に入院している。 僕は本当に河童の国があったのかもと思って読んでいたが、終盤になると、河童の友達が持って来てくれたという黒百合の花束が存在しなかったり、電話帳を河童の国で出版された詩集だと言ったりと、状況が怪しくなってくる。 やっぱり河童の国なんてものはなく、この男は精神を病んでいたのだろう。 ファンタジーを現実と錯覚させるかのような不思議な魅力のある小説だった。 However,、このような小説を書くなんて著者の芥川龍之介も病んでいたんだなぁ。 昔は今みたいにいい薬もなかっただろうし、病気になると大変だっただろう。 著者は1927年に亡くなったとのことで、約90年前か。 現代社会では何かと精神が疲れることが多いが、昔から同じようなことはあったんだなと感じた。
- Chain smoking Kotaro Sawaki (Written by) Shinchosha (Publishing House) / 新潮文庫 1996年3月28日 (Release date) Bunko (Format) 15編が収録されたエッセイ集。 著者の知り合いの多さ、読書家である様子が伝わってくる。 僕が特に興味をひかれたのは「君だけがしっている」と「赤や緑や青や黄や」かな。 前者では献辞についての話が書かれていた。 献辞とは本の冒頭によく書かれている「誰々へこの本を捧げる」というやつだ。 そこにはパターンがあるのではと著者はいう。 著者の分析は面白い。 後者は公衆電話の話。 今の時代は公衆電話を見つけるのが大変そうだ。 本書を読んで、著者が結婚していて子供もいるということを知り驚いた。 独身なのではないかというイメージを勝手に持っていたので。 The rest、小島武さんの挿絵が僕は気に入った。 特にP.19とP.69、P.255の絵かな。 これらは鉛筆で描かれたものなのだろうか、表紙の装画もいいな~