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リヴァイアサン

リヴァイアサン

ポール・オースター (著) / 柴田 元幸 (翻訳)
新潮社 (出版社)
1999年12月 (発売日)
単行本 (形式)

ポール・オースターという作者の小説。
僕はポール・オースターの作品をあまり読んだことがなかった。
昔、図書館で作品のどれかを借りたような気もするが、よく覚えていない。
そこで今回気になったリヴァイアサンという本を読んだ。

「リヴァイアサン」というのは登場人物で作家のベンジャミン・サックスがついに完成させることのなかった本の題名だ。
訳者あとがきによると、トマス・ホッブズによる近代国家論に関する書物の題名と同じでもあり、作者はいろいろな意味をこめて「リヴァイアサン」という題名をこの小説につけたみたい。

話の内容はというと、主人公のピーター・エアロンがベンジャミン・サックスという友人の男について語るもの。
実はサックスはアメリカ各地で自由の女神像を爆破した「自由の怪人(ファントム・オブ・リバティ)」だったのだ。

刺激的なキャッチコピーと題名に興味をひかれて、僕はこの小説を読み進めていったが、予想していたものとは違っていた。
「FBIの捜査をかいくぐって事件を起こすサックス、彼の動機は?、彼が追い続けた怪物リヴァイアサンとは…」というドキドキする内容ではなかった。
主人公とサックス、それを取り巻く女性たちがくっついたり、離れたりする展開が本の2/3を占めるだろうか。
そして、様々な偶然の積み重なりにより、サックスが自由の怪人となって爆死する…
なかでもマリア・ターナーという女性がいろいろな事件のキーになっており、疫病神感が感じられた。
本人が意図する、しないにかかわらずトラブルをよく引き起こす女性というのはいるものだ。
この本の教訓は、「トラブルメーカーな女性には近づかない」ということかな。
そうは言っても、男はたまに理性を失って下半身で物事を考え始めるからな。
僕も気をつけないといけないな。

また、サックスが変わるきっかけとなったのはとある事故だった。
事故などの衝撃的なできごとで、人間に一夜にして大きな変化が起こることがあるのだろうか?
人間が変わるには大きなエネルギーが必要だと僕は思う。
普通は変わりたいと思っても、簡単には変われない。
努力が必要だったり、長い時間をかけないといけなかったり、環境の変化も必要かもしれない。
その経験というインプットの積み重ねがあって、人は変わっていくのではないだろうか。
でも、ショッキングな体験をして瞬間的にドカンとエネルギーを受けてしまうことと、長い年月をかけて少しずつエネルギーを受けることは、総量としては同じことか。
事故とかの大きな経験を境に、自身の人生観が変わってしまうことはあり得るのかもしれない。

僕は今のところ、変わりたいという願望はない。
変わらなくて大丈夫です。

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