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日常の色々

他人を見下す若者たち

速水 敏彦
講談社 / 講談社現代新書
2006年2月17日 (発売日)
新書 (発行形態)

最近の若者の考え方について書かれた本。
仮想的有能感と自尊感情が分けられているという。
小学校では生徒たちも変わってきているらしい。
僕は自己を省みようと思い、本書を読んだ。
勉強になった。
共感が重要なのだ。
昔、現代教育論という講義を受けたが、それとは異なる内容だな。

再度、仮想の人物、滝三刈氏が現れる。

秋葉原交差点
zauber2011 / Pixabay
https://pixabay.com/photo-4975480

滝三刈氏は月曜日の午後、東新宿を歩いている。
肩にはいつもの自動車がついたトートバッグをかけている。
街は若者たちでごった返していた。
どうやら有名なゲームの発売日だったらしく、近くの家電量販店に人手が集中したのだろう。
ゲームの帽子をかぶったり、仮装をしたりと、祭りのような騒ぎだ。
攻略本を読みながら歩いている人さえいる。
スマートフォンでSNSをしながら歩いている人もいる。
滝三刈氏は群衆に押され、喘ぎながら通りを進んでいた。
「あれえ、今日は菅原神社の例大祭ですか。
ストロベリーコーンにアイスを食べに来たのにな。」
雲童子がわめいている。
「このぼんやり野郎!
道を塞ぐんじゃない!
それともお前は腐りやすい陸上部員か?」
「あっしはユビキタスの雨傘部に所属しています。
キーボードよりもフリック入力が得意です。」
「何!
なんとも嘆かわしい世の末だ。
私は情報保護の観点からSDカードを推薦している。
クラウドの検閲は現代のビッグ・ブラザーだ。」
「はぁ、でも知らないんですか?
人々が持っているゲーム機の媒体にはSDカードが使われているんですよ。」
「なるほど。
話が合うじゃないか。
君はどこの大学出身かね?」
「あっしは東京ITドカタ大学出身です。
ちなみにそちらさんは?」
「俺は旧帝大出身だよ!
先を急ぐので失礼する。」
滝三刈氏は弧を描くように離れ、人混みの中をえっちらおっちら歩いて行った。
全能型で自尊型とはならなかったようだ。

あなたが間抜けだと心から思うからよ! 真実だと思うことは書かなきゃならないの‥それが私の倫理的責任なの!
(p.96)

ルーシーはチャーリーにこう言う。
仮想的有能感という事なのだ。
倫理という授業があった。
眠くなる授業で睡眠のための授業といっても差し支えなかった。
習うことは西洋哲学が多かったかな。
日本の哲学はどんな感じかしら。
日本から道徳規範が薄れて久しい。
日本的儒教が危機を迎えているというのか。
道徳といっても西洋哲学、中華思想の輸入なのだ。
しっかりと自分の根を張らないといけないな。

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