老いるということ
いろいろな文学、映画、演劇などに描かれた老いの形を通して、現代に生きる者にとっての「老い」の意味と可能性を考えたという本。
筆者は序文で、「老いの中にはその季節にだけ見出せる貴重な何かがひそんでいないとも限らない」と言う。
第5章では老年を生きる人の持つ力は深謀であり、経験を糧とする質の力であるのではと書かれていた。
最後の第14章によると、老いるとはどこかに到達することではなく、延々と老い続けること、生き続けることであるという。
簡単に答えは出ず、「老い」とは奥深いものであるみたいだ。
他にも第8章や第9章、第12章を読んで勉強になった。
耕治人さんの晩年の3作品については切ない気分になる。
年齢を重ねないと書けない小説というものがあるのだな。
老いには悲惨な側面がつきまとうことも忘れてはいけないようだ。